薬の特許について

薬の特許は基本的には他の発明品と同じで、特許出願から20年の独占販売を可能とするものです。
ただし場合によっては最大5年間の延長が認められることがあります。
これは薬という商品は、開発から発売まで時間がかかるからです。
特許は新薬の成分が完成した時点で出願されるのですが、この時点では安全性に関わる試験が行われていない場合が多く、危険性がないことが認められて販売が許可されるまで、10年以上かかることがほとんどです。
つまり新薬の特許を20年で一律にしてしまうと、独占販売できる期間は10年以下になり、製薬会社は開発費を回収できない可能性があります。
そのため、新薬は特許権の延長が認められているのです。
ところでアバナフィルは2012年に認可されたにもかかわらず、もうジェネリックが出ています(実はアバナフィル自体ジェネリックの名前で、純正薬はステンドラと言います)。
特許権は切れていないはずなのに何故そんなことが起きたかというと、ジェネリックを販売している会社があるインドの法律のおかげです。
インドでは薬の特許権がほとんど認められず、何か新薬ができた途端にジェネリックが発売されてしまうのです。
他の国でアバナフィルのジェネリックを作ると違法行為になるのですが、インドの会社がインド国内で作っている限り、それは合法です。
そしてそのジェネリックを他の国にいる消費者が輸入するのも合法です。
かくして日本の消費者も格安でアバナフィルを買えるわけです。
もちろんこれについて先進国の製薬会社は非難していますが、インド産のジェネリックがないと途上国の貧しい人は医療を受けられないという事情もあり、国際社会では黙認状態になっているようです。